それはたった一瞬の、



静かにドアが開いて、真っ赤な目をしたよもぎちゃんが姿を現す。

やっと、顔が見えた。

その紅潮した頬にそっと手をあてがって。
何かのきっかけさえあればこぼれそうなぐらい潤んだ瞳をしっかりと見据えて。



「私、本当のよもぎちゃんはもっと綺麗な青色だと思うんだ」


着物の黒でも花模様の赤でも、もちろんあの空の灰色でもなく。

彼女に最も似合うのは澄みきった空の色に違いない。


気付いたの。
今まで自分がどれだけみんなにひどいことをしてきたか。

「ごめんね、私はみんなの友達なんかじゃなかった」