それはたった一瞬の、



瞬間、勢いよくドアが叩かれる音がする。

視線を向けると、沙霧が力いっぱいドアを殴りつけていた。


「ふ…ざけんな。ふざけんなよ、よもぎ!!」

「よもぎ、どうして!?」

憤怒に満ちた激しい感情が辺りを囲み、襲いかかって来る。

あまりにも突飛過ぎる話題転換に頭がついていかなかった。

「だって、だって、そうすれば青空が手に入るのに!」


内側からドアを叩く音。

ドンドン、ガンガン、頭がしびれるように疼く。

辺りの景色が滲んで輪郭を失いそうになって、そんな時。



「よもぎ。それは一番言ってはいけないことだ」

この場の誰よりも静かな声が響いた。