それはたった一瞬の、



「だから私はぶつかっていこうと思う」

そう宣言するとドアの向こう、遠くにあった体温が近づいた気がした。

着物の裾を引きずる音がする。


「藍火、沙霧、釧奈。…青い空を、見たいと思いますか?」

弱く細く、絞り出すように。
彼女は短く呟いた。

3人で顔を見合わせ、私たちは大きく頷く。

「見てぇよ、当たり前だろ」

「もっちろん!」

「私も見たい。ねぇ、どうしてそんなこと訊くの?」


歯がガチガチとうまくかみ合わない音と共に、彼女は大変なことを口にした。


「だったら私を…殺してください」