それはたった一瞬の、



沙霧が床に座り込んだまま、深くため息をつく。

「ずっとそんな調子だ」

「なんでだろーね…?」

呑みこんだ唾が喉を通って行くのを、まるで他人事のように感じながら。


「…私のせいだよね」

力ない言葉がこぼれた。

目を丸くする2人に微笑して、私はドアの向こうに語りかける。

「ごめんね、よもぎちゃん。あなたに言われたことのひとつだって、私は理解できなかった」


私が心を閉ざしていると、どうして彼女が思うのか。

その答えも言わないまま、彼女は殻に閉じこもろうとしている。