それはたった一瞬の、



ベッドに腰掛けると、彼はふわりと私の隣に腰を下ろした。

体温が近づくだけで高鳴ってしまう私の心臓なんて、彼は知る由もないだろう。


「元気になってよかったよ。みんなとても心配していたからね」

「え、あぁ、ありがとう…」

「よもぎも夕食の時に言っていたけれど…何かあったのかい?」

すぐに見つかる言葉がなくて、うつむいたまま首をひねる。

簡単に言えるものではなかった。


辛い、苦しい、そうじゃなくてもっと違う何か…。


「無力だなぁ…って」