夜をすり抜けて


「佐伯さんほうぼうに頭下げて、仕事欲しいって回ってたらしいけど、世は不況で燃料費も高騰してて、どこも赤字でヒーヒー言ってるときだったからさ」


「…つぶれちゃったの? その会社」


「てか、いなくなっちゃったんだよ、佐伯さん」


「へ?」


「連絡とれないなとか思ってたら、いつのまにか事務所もマンションも解約されて空っぽになってて」


「…」


「俺な、銀行の融資の保証人になってたから大変でさ」


と樹は言った。




「保証人……って何だっけ?」


深刻そうだった樹の顔が一瞬にして崩れる。


「プハハ、マジ? 可愛いな、真琴は」


か、可愛いとか…。
バカって意味だからね、この場合。