夜をすり抜けて


ごめんね、って言おうとしたら、樹の顔が
にこにこって笑った。


「だけど、わかっちゃったもんな…」


「へ?」


「真琴、死にたくないって叫んでた」


ああ…


「仕方がないから生きてるんじゃなくて
死にたくなくて、生きていたくて
生きてるんだもんな」


なーんて樹は笑った。



綺麗な顔がクシャッとなって、いつも通りの人懐っこい笑顔になり、その顔を見た途端、何だか涙がまたダバッと噴き出した。


「わ、もう泣くなって、俺が悪かったから」