「言っとくけど俺バカだからアドバイスとか出来ねーぞ」
前置きみたいに樹は言った。
「人生のことごとくをシクってきてる俺に、そういうの期待すんなよ」
「でも、しくじった人の方がいいアドバイスが出来るんだよ」
「いや、俺には普通に無理だから」
ちょっと怒ったみたいに樹が言うので
「いいよ、別に」
と言っておいた。
考えたら誰かにこの話をするのは初めてだ。
フロントガラスの向こうに広がる暗闇から
ヒロミや他の子達のくぐもった笑い声が響いてくる気がした。
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