夜をすり抜けて


運転中の樹を写そうと携帯を構えると


「て、俺かよ?」


と即突っ込まれた。


「だってお母さんどんな人といるのか知りたいだろうから」


「なら、ちょっと待て」


樹はちょうど見つけたコンビニの駐車場に車を停めた。


それからシートに後ろ向きになり、そこに置いてある大きな紙袋をごそごそとやっている。


「あったあった」


彼は紺色のキャップとライトブルーの作業着みたいのを出してきて、それを身につけた。


どっちも運送会社の社名の縫取りがあって、
あはは、相当ダサいよ、それ。


「ど? ちょっとは真面目そうに見えるか?」


なのに樹は嬉しそうに訊いてくるんだ。


「お母さんは眼鏡男子が好きなんだよね」


ふざけてそう言ったら、今度は小さいほうの紙袋をごそごそとやり出した。