えっと、早く拾わなくちゃ
あんなの誰かに見られたら最悪だし。


「あの、すみませ……ん」


ヒロミに取り上げられて
みんなでキャッキャと落書きされて
それからトラックの荷台に放り込まれた学生鞄を回収しようと、運転席にまわって声をかけてみたが誰もいない。


仕方なくステップに足を掛け勝手に荷台にのぼってみる。


「あった、あった」


積んである段ボール箱の隙間をかがみ、自分の鞄を拾い上げたとき

ガッシャーンと大きな金属音が鳴り響いた。


え……!?


突然視界が真っ暗になり
振り返ると、あるべきはずの外界はなく

わたしはトラックの荷台の扉が閉ざされてしまったことを知る。