夜をすり抜けて


「また魔が差したら?」


「もう差さないよ」


「疲れちゃってて

夜中に一人ぼっちで走っていて

また真っ暗闇に吸い込まれそうになったらどうするの? 

隣で“やめて”って叫ぶ人がいなかったらどうするの?」




「真琴…」


グイッと、樹がわたしの腕を引っ張って、自分の前に立たせる。


「何だよ、今度は俺の話なの?」


そう言って樹は笑った。




「だってもう…会えないもん。今言わなきゃ言えなくなるもん」


自分の言葉に涙がこぼれた。