「樹―!」


そのとき向こうから走ってくる人影が、思いっきし彼を呼んでいて…


あ、祐二さんじゃん。


「オラよ」


祐二さんは憮然とした表情のまま、売店のポリ袋をグイッと樹の胸に押し付けた。


「朝飯だ」


お茶のペットボトルとおにぎりかな? なんかゴロゴロ入ってるのが透けている。


「祐二?」


キョトンとしている樹の頭を、祐二さんはいきなりプロレス技をかけるように脇に抱え込んだ。


「ッテー、何すんだよ」


「ヘッドロック」


樹はジタバタしている。




「俺はさぁ、樹…」


そのままの姿勢で、祐二さんは言った。


「お前のこと、男として認めてっから」