** * カタ。玄関の鍵を開ける音がした。きっと瀬良だ。 コートを脱ぎながら、工房に入ってきた。「ただいま」と瀬良は言う。部屋を暖める間も無く、作業台につく。 「今日は冷えるよ。外は雪だ……」 作業台正面にある窓のカーテンを開け、瀬良は言った。最近、コホンコホンと乾いた咳をしている。 それから数時間、瀬良は作業を続けて、いつしか夜に包まれていた。