目が覚めたら、もうお昼近くになっていた。

隣りで眠る瀬戸さんは、まだ寝息をたてている。

髪、伸びてる。

耳がかくれてしまうほど。

そっと触れると白い肌が動いた気がした。

「今、何時?」

まだ目を閉じたまま、瀬戸さんが口を開く。

「あ、もうお昼です。」

壁の掛時計を確認する。

そして私の身体の上の、彼の左腕を除(よ)けて起き上がる。

昨日のお酒のせいだろう…頭が重い。

「美波、もう少し、このまま。」

まるで『抱っこ』とせがむ子供のように両手を伸ばす。

ふふっ、と笑ってその腕の中に飛び込んだ。

…瀬戸さんの匂い。