笑って手を振りながら、私に背中を向けた爽くんの姿を送り出す。 一緒に戻ろうとしなかったのは、梨花たちの目が怖かったから。 ただえさえ、梨花以外にも人気者な爽くんだもん。 変に誤解されて、クラスの女の子を敵に回したくない。 …爽くんの気持ちを知っていて、そんなことを思うのは最低なのかもしれないけど。 『…あ、雨だ。』 爽くんの背中が、私の視界から消えていって。 小さく肩を濡らしたのは、一筋の雨。 それは何かの前触れみたいに、だんだん強みを増していく。