だけど、断る理由なんて見つからなくて。 理由もなしに断るのも変だから、とりあえず頷いておく。 ……大丈夫。 梨花もこれぐらいのことじゃ、なにも思わないはずだ。 「まじで?やったぁ~、ありがとう!」 そう言った爽くんの顔は、花が咲き乱れたようにパッと明るくて。 それが本心なんだろうなって、思わせてくれる笑顔。 “作りもの”の私とは、全然違う。 『どういたしまして。』 …だって、ホラ。 爽くんが満面な笑顔なのに対して、やっぱり私は“作り物”の笑顔を向けていた。