私は、先生と出逢って、どれぐらいたったっけ? 先生と言う人をちゃんと認識し始めたのは…、まだ一年足らずかもしれない。 「…理恵は最初、俺の兄貴が好きだったんだよ。」 ―…そう言った先生の横顔が、とてつもなく寂しげに見えた。 まるで、見えてるものを、見えないようにしている横顔は、なんと言えばいいのかわからなくて。 ぼやっと、生暖かい空気が宙を舞う。