幸せが崩れ落ちるまでの、カウントダウンが始まったのは次の瞬間。 『うそうそ。梨花も久々に一緒に話そう!』 そう、私が久々に梨花に笑いかけた時。 何気なく、普段と何も変わらず。 ガラリと、教室の前の方の扉が開いた。 『……。』 普段は気にも止めないくせに、なんでこんなにも気になったんだろう。 扉から入ってきたのは、私とは関わりがない、普通のクラスメートで。 それなのに、釘をつけられたように、視界をそこから逸らせなくなる。 …小さいけど確実な、不幸への前兆。