先生が自然に私の髪へと手を伸ばして、私の髪を撫でてくれる。 先生、私ね。 先生が指輪をしてない反対の手で撫でてくれるようになったこと、ちゃんと知ってるんだよ? 『先生ー、頭撫でられてると食べづらーい。』 そう、冗談半分に口にした時だった。 ――トントン、と。 普段は音1つない扉を、叩く音がして。 私と先生は少し焦ったように。 お互いに顔を見合わせたのだった。