黒くて艶の強い、先生の髪。 スラリと長く、骨ばっている先生の手のひら。 肌も、鎖骨も、首元も、男の人とは思えないぐらい美しくて。 そんな彼の姿を見ていると、時々、こんなことが頭をよぎる。 『……。』 “これは全部、私のもの?” 切れ長な目も、長い指先も、がっちりした腕も。 私しか、知らない? 私のためにあるの? こんなことを思ってしまう私は、この間から変だ。 「…美優?」 先生の心配したような声色で、パッと我に返る。