―…いつだって、最後に感じるのは冷たい感覚。 「ん?」 なにもわかってないような顔をして。 何事もなかったように、パソコンに向き直して。 いつもみたいに素っ気なく、視線だけをこちらに向ける先生は、何もわかっていない。 『……。』 あの感覚、知っている。 いつだかも感じた、指輪の冷たさ。 『…なんでもないです。』 無意識に、視線がそっちへと動いていた。 キーボードを打つ指先に輝くのは、やっぱり煌めくことを忘れない先生の指輪…。