戻ろうと思えば戻れたけど、それをしなかったのは変わってしまったから。 私の心も、佑くんの心も。 “好き”という気持ちはあるけれども、何か違うものに変わってしまったの。 ―…佑くん。 両想いなのに、叶わない恋って、あるんだね。 「……美優。」 『んっ?』 佑くんが泣き笑いみたいな表情を見せたから。 それに気づかないフリして、佑くんから視線を逸らす。 気づかないフリをする優しさがあるってことを、今初めて知った。