虹が見えたら


真樹は携帯電話の入ったバッグごと盗難に遭ったことを話した。
その後は落ち着いて電話もできない状況となって、ほぼ軟禁に近かったという。


「警察に届けた方がいい。
けど、ここから出るのは逆に危険かもしれない。

そうだ、僕の先輩で京都で警察官の人がいる。
電話して呼ぶから、きてもらおう。」


沢井の機転ですばやく京都府警まで真樹たちは無事にたどり着くことができた。


しかし、2人はしばらく犯人?と思われる者や、直樹の会社関係者、マスコミなど姿がとらえられたら追われることになると予想した沢井は、真樹に自分の自宅をしばらく提供することにした。

そして、なるみは伊織のマンションから学校へ通うことにした。




「沢井さん、どうして僕をここにおいてくれるんです?
君はなるみをここに住まわせたかったんでしょう?」



「どうしてでしょうねぇ。
なるみさんが悲しまないため・・・かな。」



「本気だって宣言しているんですか?」



「あなたがそう受けとったのなら否定はしません。
僕はご存じのとおり、学院の寮のことや店舗の仕事などで帰宅は遅いし、家にいる時間はほんの少しです。

なるみさんにときどき来てもらってもいいですよ。
ただし、身の安全優先で考えてください。

ま、そんなことはいうまでもないでしょうけど。」



「今回は恩にきるよ。あ・・・まきこんでしまって本当にすまない。
君もまさかとは思うけど気をつけてね。」



真樹が沢井の家にいる間に、伊織は須賀浦直樹に会っていた。


「婚約披露などと・・・考えましたねぇ。直樹様。」


「惜しかったな。真樹が片腕になってくれれば、のんびりしていられると思ったのに。
君が執事に復帰してくれるのもありがたいんだがな。

まさか・・・真樹の想い人が君の妹だったとは私としたことが調べが足りなかった。
君の家にも我が家のような事情があったとはね。ははは」