「そんで、そのファルドっていう子と喧嘩したワケ。琉莉も喧嘩っぱやいのねぇ」


そう言って、クスクス笑うのは桃嘉。


あの出来事があってから、桃嘉と私はもっと仲良くなって、お互いのプライベートの話をよくするようになった。


「悪いのは全部ファルドなんだからねっ!桃嘉もそう思うでしょ?」


「でも、そのファルドって子、可哀相ねぇ…」


「ちょっと、今の私の話聞いてた?」


桃嘉が急にファルドの味方をしたから、驚いた。


「もちろん、聞いてたわよ。でもその子、琉莉にひっ叩かれて、頬に青アザ作ってんじゃない?」


「桃嘉…酷いよ…私そこまで力強くない」


それに…ファルドは……


「それに…アイツ、ヴァ……」


ガラッ!!!


「おーい、席つけー」


続きを言おうとした瞬間、担任の梅澤が教室に入って来た。


「梅澤来ちゃった…続きはまた後でね?」


うんと頷いてから、私は頭の中で、今の会話をリピートしていた。


あ…危なかったぁ!!


もう少しで“ヴァンパイア”なんて言いそうになってしまった。


ありがとう梅澤!!


意外に役に立つじゃない!


そんなことを考えていた時、私の恐れていたことが起こった…―――