「・・・そうか」


彼もまた、ぽつりと呟くように返答した。


「パチンコについて話す仲間が減っちまうからな」


言い捨てるように同僚はそう呟きながら、


助手席のドアを開けた。


そして、ドアを閉める前に、同僚はかがみこむようにして、


彼に向ってこう言った。


「明日も朝早く来れば、お茶ぐらい奢ってやるよ」


ぱたん、と優しく締められるドアの窓から見えた同僚の背中を、


彼はじっと見つめていた。


ふと、少し強張っていた彼の顔がゆるむ。


「俺がお茶くらいで釣られるか。馬鹿」


そうぶっきらぼうに吐き捨てる彼の顔は、


少しだけ嬉しそうで、悲しそうだった。