「板野翼・・・」 もう1度考えてみるが、やはり聞き覚えのない名前。 でも、同じ中学の人がいたという事実に、少し心が軽くなった。 それから、初めてのホームルームが始まる。 いつの間にか戻ってきた翼が、静かに睦月に声をかけた。 「ねぇ、本当に俺のこと知らない?」 「うん。知らない。てか、板野くんは何であたしのこと知ってるの?」 「何でって・・・ほら、隣のクラスだったし?」 なぜか疑問形で答える翼に、「ふーん」と小さく返事をし、前を向いた。