月夜に舞う桜華




少し前までは考えられなかったことだ。


ずっと一人だったあたしが、他の誰かと一緒に住むなんて。


(今となっては当たり前)


それがとても嬉しい。
きっと今のあたしはどうしようもなくにやけてると思う。


料理を続けながら、聞こえてきた足音に朔夜が洗面所から戻ってくる。
そして、カチャカチャと背後で動く朔夜にあたしは、朝食を作りながら感じる。


(本当に安心するな……)


ふふっと小さく笑う。


「?どうした?」


あたしの笑い声が聞こえた朔夜が首を傾ける。


皿に盛りながら、あたしはまた笑う。
朝から笑う日だ。


「椿?」

「んーなんか、気分が良い」

「へぇ?」


コポコポとコーヒーメーカーが動いている。