「皆川さん。私…聞きました。蒼の事務所からの圧力のこと。」 ハンドルを握ろうとしていた皆川さんの手がピタリと動きを止める。 「…律萪。」 「大丈夫です。もう…覚悟は出来てます。」 きっぱりと、私は言い放つ。 「…そう。一旦、事務所に戻りましょう。」 少しの間悩んでいた皆川さんは、ぎゅっとハンドルを握りなおすと、静かにそう告げた。