ずっと楽しみだったはずの合同練習を、こんなに憂鬱な気分でむかえるとは思ってもいなかった。

雫と、会える。

それはあたしにとって、何よりも喜ばしいことであったはずなのに。それが唯一、あたしの幸せだったはずなのに。

先月合宿で使った宿舎の、体育館に近い方の駐車場。先に着いていたあたし達は、バスを降りて星南勢の到着を待つ。

まだ9時前だってのに、無遠慮に照っている日光がウザい。雨や曇りはもちろん嫌いだけれど、今のあたしの心境には、どう考えたって晴天は不釣り合いな気がした。


「…あ。やっと来たみたいっスね!」


ぼうっとそんなことを思いながら青空に意識を向けていたあたしは、不意に鼓膜を揺らした田原の声で現実に引き戻された。

彼らが視線を向けている方向に視線を向ければ、見慣れた星南のバスがゆっくりと停車したところだった。