桃香は何かが吹っ切れたように声を出す。 涙を流したまま。 充を思いきり睨んで。 「あたしのことなんていいじゃない」 「よくないよ」 「ほっといて」 「目の前でそんな顔されて、放っとけるわけがないだろ」 「どうして? 朝の段階でわかってたでしょ? あたし、厄介な女なの。なのにどうしてほっといてくれないの?」 確かに、車に乗り込んだときから厄介ではあった。 だけど…… 「確かにちょっと厄介かもしれない。だけど」 「だけど何よ」 「池田さんだってわかってんでしょ? 俺の気持ちくらい」