「何かあったんすか?」 充は軽い気持ちで沢田に訪ねてみた。 沢田は神妙な顔をして言うのをためらっているようだった。 その時。 「木下充さんですか?」 充に気付いた警官が話しかけてきた。 「そうですけど。私が何か?」 警官は名を名乗って話を始める。 「池田桃香さんのことでお話があるのですが」 桃香という言葉に心臓が大きく動き出す。 何かあったのだ。 「何でしょう」 心を落ち着け、深呼吸をした。 「実は……」 所内みんなの視線が二人に注がれた。