もうすぐ盆休みである。 桃香は恐らく、「殺した」という相手のことを思いながら過ごすのだろう。 初盆であることだし。 充にはそれ以上、桃香に関わっていく勇気が持てずにいた。 美人席で原稿を組み合わせていく姿を、ただ眺めるだけ。 沢田の言うバイオリズムを考えると、今はきっと行動すべきではない。 上昇傾向になるまで待ってみよう。 短い夏休み。 何をして過ごそうか……。 少しだけ窓を開けると、墓で聞いたのと似たようなセミの鳴き声がビリビリと耳を刺激した。 第三章