桃香はシートベルトを締めながら、 「それを説明するのは、結構辛いのよ」 と呟いた。 これ以上聞いていいのかいけないのか。 充にはすぐに判断できなかった。 車を発進させ、駐車場を出る。 エアコンから涼しい風が出てきて、穏やかなBGMが昼下がりの日差しを和らげているようだった。 国道に出て、2つ目の信号で止まった時。 「木下くん、幸せにしたいって言ってくれたよね」 桃香がぽつりと問いかけた。 「うん」 「幸せにするって、どうやったらできるの?」 こんなことを聞かれたのは初めてだった。