エンプティープリンス

そう言いかけて言葉を飲み込んだ彼女。
でも…何かを決めたかのように口を開いた。


「あなたを初めて見たのは…ね…。新任式の後だったの。」

「え?」

「新任式の後、たまたま女の子に告白されてるところを見ちゃって。
でも、その時のあなたの顔が頭から離れなかった。」

「俺の顔…?」

「好きだって言われているのに…とても冷たい顔をして笑ってたの。
寂しそうに…微笑んでた。
私にはどうしてもあなたが無理して笑っているようにしか見えなかったの。
好かれているのに独り。そう見えたわ。」

「…。」

「その後…といってもかなり後だけど…あなたのクラスの数学の担当になって、その日にあなたが帰り道で倒れちゃって…
あれがきっかけでよく話すようになったのよね。」

「うん…。そうだね。」

「…そしてあなたは…私に色んなものをくれたわ。
自信や勇気…。あなたの言葉は本当に私にとっては魔法だったの。あなたの言葉のおかげで…私は他の生徒たちと打ち解けることが出来たし、上手く授業が出来るようになったわ。
本当にありがとう。何度言っても足りないくらいよ。」