生徒から恐れられている相模香織は、1限が始まる5分前に教室に現れて授業の準備をし始めた。
その瞬間に静まり返る教室。
このクラスがこんな風に授業時間前に静まり返るなんて珍しすぎる。

俺は特に何も意識せず、巧からノートを取り上げた。


「あ、おいちょっと待て!!
まだ写し終わってな…。」

「もう授業時間だ。諦めろ。」

「冷たっ!!」


「それでは授業を始めます。
葛西先生の記録によると…このクラスは教科書48ページまで終わっていたみたいなので、その続きからやりましょう。」


長い黒髪は…確かに少し魔女を思わせる。
そしてややキツい目。
キツい目…と言うか目が大きいから、目力が強く思われてしまうだけ…なんじゃないのか？

確かに、表情はほとんど変わらないけど、俺と同じではない。
それだけは直感的にすぐ分かった。