* * *

翌日。
私は眠い目をこすりながら学校へと向かった。
その途中…。


「先生、眠そうですね。もしかして…俺のせいですか?」

「え?」


その声のおかげで瞬時に目が覚める。


「高橋くんっ!!」

「あ、目覚めた。
おはよう、先生。」

「おっ…おはよう。」

「…普通にしてなんて言える立場じゃないのは分かってるけど…。
そんなに緊張しなくていいよ。
俺も普通にするから。
それに…俺のことを何とも思ってないなら思ってないでそういう態度で全然構わないからさ。」

「え?」

「混乱させたことは謝る。
だけど言ったこと自体は後悔してないよ。それじゃ。授業と…放課後。」


言いたいことだけ言って、高橋くんは去って行った。
幸い、周りに人はいなくて、だから高橋くんはあの口調だったんだなということが分かる。


「…普通ってどんなのだったかしら…。」


『普通』、そして『今まで』が思い出せない。
それに、『授業と…放課後。』と言われた時に、心のどこかで私…。