* * *


「高橋くんが…私を…?」


何度考えてもあり得ないことだった。
だって私は…


「教師なのに?」



そう。私は教師…。
生徒である高橋くんに恋したりするはずがないのに…。

私は自分の部屋で一人、呟いた。
だってどう考えたって…高橋くんが私を好きになる理由がない。
それに私だって…高橋くんのことを好きなはずが…。

そこまで考えて、前に聞いた高橋くんの言葉が蘇る。

『…当たり前だろう?
教師と生徒でそういう気持ちはあり得ない。』

そう言われたのを聞いた瞬間に、きゅっと苦しくなった気持ち。
高橋くんは当たり前のことを言っただけなのに…。

『先生のことが…好きだから。』

こう言われて、胸が高鳴った自分。
それが否定できないのが一番困る。


「あたしは…教師なんだから…。」


だめ。だめなの、高橋くん。私なんかを好きにならないで。
私は教師だから…生徒のあなたを好きになる資格なんてないのよ。

結局この日は…私の中を自分でも良く分からない気持ちが駆け巡って眠ることが出来なかった。