* * *


コンコン…


「はい。」

「失礼します。」

「え…?」


俺はドアを開けた。
目の前には驚いた表情の彼女。


「どうして…?
だって私…ここには来ちゃだめって…。」

「…それでも俺が来たかったから。」

「え?」

「どうしても先生に会いたかったんだ。」

「…でもそれは…高橋くんに迷惑を…。」

「…そのことなんだけど…何て言われたの?
噂って何?」

「…。」

「…先生の口から出たことしか信じないから。
何て言われたの?」

「…あなたと私が…その…。」

「…付き合ってる…とか言われた?」

「…。」

「そんな類の話ってことだね。」

「…。」


彼女は何も言わない。
でも表情から分かる。