「…先生とそういう関係だってバラすことも出来るんだよ?」

「そういう関係ってどんな?」

「だから…教師と生徒の恋愛なんて認められないって…!!」

「…別に先生と俺はそういう関係じゃないよ。」

「じゃあなんで毎日のように先生のところに…。」



それは…『好きだから』
でもそんなことをバカ正直に言うほど、俺は腑抜けてなどいない。
そもそも、こんな女に真実を話す必要などない。



「先生には数学を習いに行ってるだけだよ。
最近のところは難しくて分からないところが多いんだ。」

「…嘘。」

「どうしてそう思うの?」

「だって最近の奏くん…ヘンだもん。」

「ヘン?」

「女の子の誘いはほぼ全部断ってるし…。
前は誰とだってデートしてくれたのに…。
ホントに優しい…みんなの王子様だったのに…。」

「…用件はそれだけかな?」

「それだけって…!!」

「君の考えは見当違いだよ。
デートを断ってるのはそんな気分になれないからで、相模先生は全く関係ない。」


とにかくこの子をなんとかしなくちゃならない。
俺はどうなってもいいけど、彼女に迷惑がかかるのだけはなんとしても避けたい。