＊　＊　＊

俺は席に着く。
そして今日の時間割を確認する。


「1限…数学か…。」

「うわっやべっ!!俺、予習してきてねぇよ。
奏!!ノート見してくんね？」

「どーぞ。」

「サンキュー!!」



俺は後ろの巧にノートを渡すと、教科書をパラパラと見始めた。
これもある種のフェイク。
優等生を演じるために必要な動作。
でも、そもそも勉強は嫌いじゃないし、出来なくもない。
まぁ…視界に下手なものを入れないためには、教科書を読んでいた方がマシだ。



「朝のHR始めるぞー。」


担任が入ってきた。



「まずは連絡から。
昨日、数学の担当の葛西先生が事故に遭われてな…。現在入院中だ。
そこで代理に、相模先生がしばらくの間授業をしにくる。
しっかり勉強するように。」

「おい!!おい奏!!」