エンプティープリンス

「高橋奏に必要なのはこの顔と、優しい態度、それだけだ。
それが本物じゃなくても、別に彼女たちは気にしない。
いいんだ…彼女たちには…この顔があれば…俺の表面があればそれだけで。
いらないんだよ。俺の中身なんて。」


一気に思っていたことを吐き出した。
これは彼女に吐き出すべきではないって分かっていたのに…。止まらなかった。



「そんなこと…。」

「中身を見てくれたのは…先生だけだよ。
俺の表面じゃなく、俺の中身を最初に、その真っすぐな瞳で見つめてくれたのは先生だけだ。」

「え…?」

「みんなに好かれているのは俺じゃない。俺自身じゃない。
俺には…何もない。何も…本当に何もないんだ。」

「…そんなこと言わないで。」

「え…。」









震える彼女に、いつの間にか抱きしめられていた。