* * *


自分の家に帰ってきても、頭の中に残るのは彼女のことばかりだった。


でも掴めない、自分の気持ち。


元々、自分は何も感じない生き物だと思っていたし、自分は満たされることのないまま死んでいくのだとも思っていた。
俺の表面だけしか見ない人間が寄って来て、俺の表面だけを欲しがるばかりだと思っていた。

でも、表面を欲しがられれば欲しがられるほど、飢えていく自分に気付いてた。
そしてどんどん、空っぽになった。

自分の中には何もない。いや、あったとしても誰も見てくれない。
誰も見てくれないのなら、自分なんてものがあってもないのと同じだと、そう思っていたんだ。
少なくとも…彼女に会うまではずっと。



「どうして…特別なんだろう…。」




答えの出ない問いを考え続けて出た、俺のひとりごとだった。