エンプティープリンス

「それってさー相模香織が理由なんじゃないの?
最初にうちのクラスに来た時からさ…奏にとって相模香織はちょっと違ったんじゃない?他の女とはさ。」



…そうだ。そうだよ。
彼女は最初から違ったんだ。
他のどんな女とも違う。いや…他のどんな人間とも違う。

俺は今、とても満たされてる。
もう…毎日を空虚だとは感じない。

ただ、笑ってくれるだけでいい。
あの優しい笑顔を見るだけで、不思議な温かさに包まれるから。
ただ、そばにいてくれればいい。
あの真っすぐな瞳は、自分の本当の姿を見てくれるから。



「やっと自覚した?」

「…まだ…分からない。だけど…。」

「…。」

「自分が最近、満たされてるのは分かる。
それと…先生が特別だってことも。」

「だからそれが…。」

「でも、これがお前の言う『好き』とかいう気持ちなのかは分からない。」

「え?」

「…俺は人を好きになったことなんてないから。」

「…そっか。
じゃあ、早く分かるといいね…。
その『見えない気持ち』の正体。」

「…ああ。」