今…何て言おうとした…?俺…。


「高橋くん…?」


俺から少し離れて、彼女が俺の顔を覗き込む。
俺はそのまま顔を伏せた。


「…なんでもない。」

「…そう。
今日は…早く帰ってゆっくり休んで。
それと…。」

「…?」

「ありがとう。
私がこうしてみんなの前で笑えるようになったのは…全部あなたのおかげよ。
それに…この怪我も。
きっと私が聞いたら傷つくような内容だったんでしょう?
だからあなたが…私の代わりに傷ついた。」

「…。」


俺は何も答えなかった。
否定できない。でも肯定したくない。


「高橋くん、ありがとう。」


そう言って優しく微笑む彼女。
その笑顔を見てふと思う。
この笑顔は…俺だけに向けられているのだろうか?



「先生。」