エンプティープリンス

「あっれー自覚なし?
奏はさ…最近俺、幸せだなーとか思ったりすることねぇの?」

「幸せ…ねぇ…。」


幸せってどういう感覚なんだろう。
心が満たされるって…どういう状態?
俺の頭の中には疑問しか浮かんでこないし、その疑問は俺の知識や感情ではとても解決できそうにない。
そのくらい…俺には何もないのだから。

考えが全然まとまらなくて、ぼーっと空を眺めていた俺の耳にある声が届く。




「なぁー最近さ、相模、綺麗になったと思わねぇ?」

「あー思う。つか、元々顔は美人だったじゃん。」

「だよな。今よく笑うし。」

「今の相模にはマジ惚れる~♪
落としてみてぇよなー。なんつーの?禁断の関係?みたいな。」

「案外相模もコロッと落ちたりしてな。」

「相模も女だしな。」










「おー相模センセ、大分人気が出てきたみたいだねー。
主に男子の間で。」



ガタッ…



「え?奏…どした…?」



俺はいつの間にか立ち上がっていた。
巧の声が耳に届かないくらい、苛立ちを抱えて。