エンプティープリンス

「だったらさ…。」

「え?」



俺はぐいっと彼女との距離を近付けた。


「まずは見た目からじゃない?」

「え?」

「先生は…もったいない。」

「ど…ういう…意味…?」


俺は彼女の白い肌にそっと触れる。


「こんなに綺麗な肌してるし、髪もさらさらでつやがある。
アレンジ次第で相当可愛くなると思うけど?」

「アレンジ…?」


こんなに接近してるというのに、彼女はそれに動揺する様子もない。
なんだかそれって男として微妙に虚しいけど。
でも俺は言葉を続ける。



「先生、メイク道具とくしとゴム、持ってない?」

「え…持ってるけど…?」

「それ、貸して?」

「え…あ…ええ。」


そう言ってカバンの中からポーチを出す彼女。
そしてそれを俺に差し出す。


「そこ、座って?」

「え?」

「先生を…俺が変えてあげるよ。」

「?」


俺の言葉の意味が分からなかったのか、彼女は首を傾げている。
それでも素直に近くにあった椅子に腰かけた。