エンプティープリンス

彼女は水道をひねってコップに水を入れ、薬をゴクンと飲んだ。


「今日の授業、いきなり当ててしまってごめんなさいね。
驚いたでしょう?」

「あ、いえ。
当てられたことよりも俺は…。」

「…?」


キーンコーンカーンコーン…



「あっ…授業始まっちゃう…。
高橋くんは、しっかり休むのよ?」

「あ、はい。」







確かに彼女は笑わない。だけど…
申し訳なさそうに俺に謝った。
『ありがとう』と言ったときも、少しだけ口元が緩んだ。


彼女には表情がないわけじゃない。
ただそれが見えにくいだけ。


「俺とは違って…な。」