エンプティープリンス

「高橋…くん?
あ、保健の水原先生なら留守みたくて…。
どうかしたの?」

「あ、少し頭が痛くて…。」



あ…せった…。
何故って…いるはずのない、相模香織がいたからだ。
しかも相模香織は、下ろしていた長い髪を少しまとめてアップにしている。
それだけで全然印象が違う。



「私も頭が痛くて…頭痛止めを貰おうと思ったんだけど…。」

「頭痛止めなら…確か…。」


俺はごそごそと薬の入ったケースをあさる。
保健室にはお世話になっているから、頭痛止めの場所なんて分かってる。


「これでいいですか?」

「あ、ありがとう。
でもなんでこれがここにあるって…?」

「俺も頭が痛くなることがしょっちゅうあるので…。」

「そうなの…。」



1対1だと…余計恐くない。
いや、俺は彼女に恐怖を感じたことなんてないけど…。

彼女にも…授業の時のような張りつめた感じはうかがえない。