俺は彼女の唇に指をあてた。


「奏って言って。」

「そ…奏…。」


潤んだ瞳で俺の目を見つめながら、小さな声でそう言う彼女。
可愛くて可愛くて仕方がない。


「言えるじゃん。」

「…っ…限界よ。」

「あー…本当に可愛いね。可愛すぎて…色々我慢できそうにないな、俺。」

「え?」

「もう1回…キス…してもいい?」

「へっ?」

「イエス以外は受け付けないけど。」

「そんなっ…。」

「…嫌?」

「嫌…じゃないけど…。」


それっていいってことだろ?と勝手な解釈をして、再び唇を重ねた。
今度は…さっきよりも長く。
唇を離すと、また彼女と目が合う。その瞳は当然ながら潤んでる。


「こんなに強引な人だって…知らなかったわ。」

「…約束を守るために…抑えてたからね。見せなかっただけ。
自分でも知らなかったけど…俺って結構独占欲強いみたい。
だって今…。」

「?」

「香織を腕から離したくないから。ずっとこうしていたいって…思うから。」


もう俺は空っぽなんかじゃない。
彼女が…満たしてくれた。俺の全てを、全部。


「こんな王子様…
みんなが知ったらびっくりされてしまうわね。」

「別にみんなが知ることはないからいいんじゃない?
俺はもう…香織の王子様だし。」

「私は…お姫様ってガラじゃないわ。」

「そんなことないよ?
香織は俺だけのお姫様。」


そして俺は彼女の頬にキスをした。


*END*