右手には、ラブレター。 私が書いたわけではないのに、手が湿って、ガクガクする。 ―…今から、直也は菜穂ちゃんの気持ちを知るんだよね? どんな、反応するのかな? 断る、のかな? …できれば、断ってほしい。 そう思ってしまう自分が嫌だ。 『…えっと。はい、これっ。』 私の気持ちと反比例するように、ストンと私の手から滑り落ちたラブレター。 それはしっかりと直也の手に渡り、無言でそれを見つめる。